なにもしらない

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本人がどう思っているのか、じゃないのか

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あなたの仕事は差別的なので、あなたは首ですと言っているのに等しいわけだ。だから僕は「グリッドガールを廃止する」と言う前に、まず実際に首にさせられるグリッドガール本人たちがどう思っているか、仕事に対してどう思っているか、廃止されることに対してどう思っているか、をちゃんと聞かないといけないだろうと思った。そうじゃなきゃ誰のために、何のために廃止するのかよくわからない。

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他の記事ではグリッドガールレースクイーン本人による憤りの文章も紹介されている。本人たちに何の相談もなく、これは差別的だと判断し廃止を決定していいわけがない。当人の意見より外部の人間に配慮をすることの方が重要なのだろうか。ならばその職業に就いている人たちの権利は一体どうなるのか。単純に、商売としてグリッドガールがいない方が良い、そのほうが経済的である、と言ったならともかく、女性差別を持ち出してグリッドガールを否定したのだから、彼女らの権利についてなあなあにするわけにはいかないはずだ。彼女らだって女性なのだから。

「僕は/私は興味がないからなくなってもいい」という意見もあったが、それはちょっと主張として雑すぎる。僕の興味がないものはなくなってもいいと、そんな単純な話ではないだろう。例えば僕がBLに興味がないのでBL作家は首になっても構わないとか、少女漫画に興味がないので少女漫画作家はいなくなっても構わないとか、そういうことをちょっと考えてみればいかにいい加減なことを言っているかがわかる。自分がそれに興味を持っていないことは、それを無くす理由にはならない。

 

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ただこれを読む限り、怪文書であることを百歩譲ってこれが本当のことならば、相当やばい業界だってことはわかるし、廃止にされても仕方ないのかなという気分にもなる。

でもこれでわかるのは、レースクイーンそれ自体というよりは、業界の裏側に問題があるということなので、それは記事内で理由として書かれていたこととは別の話なわけだ。これを上記のF1のニュースの論点と合わせて語るのは難しい。たとえば、AV女優の裏側に問題があるということと、AV女優の仕事それ自体が差別的かどうか、ということをごっちゃにして考えるのは難しいのと同じように。

F1側はグリッドガールという職業それ自体に問題があると言ったわけで、グリッドガールの裏側には問題があって、その問題を解決するコストが払えない、払いたくないのでグリッドガールを廃止します、と言っているわけではない。それとも、表向きは綺麗な言い方をしてたけど、本当はこういう理由なんだけど隠してました、的な感じなのか。そこまでいくと流石に妄想の域に入ってくるのでなんとも言えない。

ただし、グリッドガールレースクイーンそれ自体が差別的職業かどうかというのとは別の話として、もしここに書かれている文章が事実ならば、業界はこれらのセクハラ、枕営業、薬物問題を解決するべきだし、しなくちゃいけないとは思うが。

ゆるキャン△一話の感想と与太話

ゆるキャン△の一話を見てすごく感動したのは、これが僕が聞いたことのあるいわゆるアニメーションの構成のコツ、作り方のコツだと思ったからだ。

24分のアニメがあって、そのすべてでカロリーの高い、情報量の多いアニメーションを見せ続けられるのは視聴者にとって苦痛というか、単純に見ていて疲れてしまう。だから視聴者が最後まで作品を見続けられるよう、適度に力を抜いて、情報量をコントロールする必要がある。つまりどこが一番見せたいところなのか、どこがそうでもないところなのか、メリハリをつけて見やすくする必要がある。それが、僕が知ってるいわゆるアニメーションの作り方だった。

ゆるキャンというアニメは、京アニみたいに全編異様な滑らかさと情報量を視聴者に与え続ける、パワーのある作品ではなくて、そういう意味で「入りと抜き」がしっかりあるアニメだったので感動した。だから見ていて本当にストレスがないし、心地よい。

とりわけ一話で一番大事なのは、これがどういうアニメかっていうところを端的に示すこと、つまりこれがゆるくキャンプをするアニメなんだよってことをちゃんと伝えることである。言い換えると、いわゆる作画的なポイントとしては、あの主人公じゃない背の小さい女の子がキャンプをする様子、それを事細かに表現することが大事だ。だから一話の作画的な見所が「テントをどうやって組み立てるのか」の描写になっている。キャンプにおける、一番わかりやすく、キャンプ的なシーンをなめらかなアニメーションで見せ、加えてそこに出てくるキャンプ道具、小物の作画にもこだわりを見せる。

逆にそれ以外の、例えば冒頭の自転車のシーンはほとんど作画的に動かしていない。トンネルを通ってキャンプ場まで行き、キャンプの手続きをするまでのくだりを枚数を割かずにほとんど間とカットの切り替えだけで見せている。あれは監督さんの工夫によるものだろう。

ちょっと失礼かもしれないが、このアニメってオープニングアニメーションもそうだし全体的なアニメーションの感じもそうなんだけど、あんまり予算があるようには見えない。だからその中でどうやって工夫して感動させるか、視聴者を最後まで釘付けにするかみたいなことが凄く考えられてる感じがする。

 

ここからは余談。

本職のアニメーターの人にとってはこんな与太話「何を適当なこと言ってんだお前」と言われるかもしれないが。

最近アニメが厳しい厳しいみたいなことを言われているけど、唯一その中で希望を抱いているのは、もっとキャラデザがシンプルになったり、あるいはこのゆるキャンのように、作画のカロリーをコントロールする、入りと抜きのハッキリした、以前のようなアニメーションが復活するんじゃないかっていう、そういう希望的なものを持っている。なぜなら単純にその方が作る方も楽だから。

例えば以前ヤマノススメセカンドシーズンを見たときに、これからは15分アニメが流行るんじゃないかってちょっと思っていた。なぜなら単純に15分なので、普段より早く作れる。スケジュール管理が楽になる。そしてその分作画監督なりメインアニメーターなり監督なりの個性が出しやすくなっていいんじゃないかなと思ってた。実際ヤマノススメセカンドシーズンはそういうアニメだったから。と思ってたけど結局全然流行らなかった。

その代わりに2018年、ポプテピピックが24分の予算を使って12分アニメを作ってしまえと、そしてそれを再放送して24分にしてしまえばいいじゃないか、という無茶苦茶な、あまりにも無茶苦茶な、確かに誰も考えつかなかったけれど、確かに発明っちゃ発明だけど、だからといって誰も真似できないようなことをやってきてとてもびっくりした。アニメの将来については全然わかんないけど、少なくともあのフォーマットだけは流行らないと断言できる。

CHAIというガールズバンドにハマった

最近CHAIって言うガールズバンドがすごく好きで、ここ1ヵ月ぐらいはずっと聴いてる。

どういう経緯で知ったかというと、まず前置きとして、名曲しか作れないでお馴染みの「スカート」というソロプロジェクトがある。多分1番最初に注目されたのはMステのスピッツのライブで何か演奏してたみたいなやつ、それで話題になった、ちょっとふくよかな、人の良さそうな顔をした、あれがスカートの澤部渡さん。そのスカートが僕は大好きなのだ。フェチズム的な意味ではなくバンド的な意味で。

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で、色んな曲が聴けるでお馴染みのSpotifyで色んなプレイリスト漁ってたときに「スカートの澤部渡が言及した曲を集めたプレイリスト」なるものを見つけた。彼の音楽の知識がかなり豊富だってことを僕は何かで読んで、あるいは聞いて知ってたので(上記の動画の33:28以降を見てもわかると思う)、当然聞くしかないとなり、ウキウキで再生ボタンを押した。音楽に詳しい人が言及した曲の詰め合わせなので、古いのから最近のからごちゃ混ぜに流れてくる。そんな中で頻繁に出てきたのがCHAIだった。しかも流れる曲流れる曲いちいち良かったもんだから、なんだこのミュージシャンは、あとこのショッキングピンクのアルバムジャケット超目立ってんな、と思い気になってYouTubeで検索した。

ああ、ちょっとまって、まずその前にSpotifyCHAIを検索してお気に入りアーティスト登録をして、それからYouTubeでも同じくCHAIと検索し、1番最初に聞いたのが、あれ、1番最初に来たのは何だっけ、覚えてない、ああとにかく、『N.E.O.』っていうのとあと『ほれちゃった』の2曲をとりあえず聞いたのは覚えてる。

まず、これは本当に申し訳ないと思っているが、ガールズバンドというのは基本的に演奏があんまりうまくない、あとアレンジも結構さっぱりしてる、という偏見を持っていたばかりに、最初聴いた時あまりにも彼女らの演奏がうまいので、そしてアレンジ力が半端ないので、ほんとうに本人が演奏しているのかがわからず、誰かバックバンドが演奏しているものに対して、あるいは事前に音楽編集ソフトで作ったオケに合わせて、この4人で歌を歌ってるんじゃないか、とかそういう勘違いをしていた。徐々にライブ動画や他の曲のMVを見るにつれて、ああこれは本人たちがマジで演奏しているんだ、と理解するようになったんだけども。

特に『ほれちゃった』っていう曲があまりにも良くて、いや、確かに『N.E.O.』もいいっちゃいいんだけど、メッセージ性も強いし、MVのインパクトもあるし、僕も「NEOかっこいい」と名乗ってもいいんじゃないかとか考えたりする位に印象に残ってはいるのだけど、なんだろな、それを超えるくらい、というか、純粋に『ほれちゃった』がものすごく僕の心に刺さってしまったのだ。とにかく第一印象でやられてしまった。

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『ほれちゃった』の何がいいかって、雰囲気、とにかく雰囲気が良くて、曲調のゆるさ、演奏のうまさ、メロディの良さ、ボーカルのかわいらしさ、MVの中での4人のファッションとか、揃ってのゆるい踊りとか、画面の色合いとか、もう何もかもが良質な癒しコンテンツというか、幸福の塊みたいな動画になってたのでほんとに好きになっちゃったんだ。

特に良いのがサビが終わった直後の「どうして you're cute~」のとこで、あれはCメロって言うのかな、あのメロディというかコーラスのくだりが凄く良い。この曲っていわゆる普通のJPOPとはちょっと構成が違っていて、AメロBメロがあってサビに入りその後Cメロが続いて、またサビがあってアウトロのコーラスで終わると。2番にAメロBメロがない曲なのだ。このCメロ、急にコードが変わるんだ。あそこだけ浮いてる、と言うと言い方が悪い、良い意味で違和感がある、と言うべきか。あの曲においてかなり特徴があるパートで、それに浮遊感のあるメロディとボーカルとアレンジが重なってくるから聞いててすごく気持ちが良い。だからサビを味わうために聴いてたというよりかは、つなぎのCメロを聴きたいがために聴いていた感じがする。

そんな感じでCHAIに激ハマりしてしまった結果、今めっちゃくちゃ聴いてる。もしiPhoneのミュージックアプリに再生履歴があったらCHAIだらけ、ってぐらいに聴いてる。ストレスでおかしくなりかけてた時はずーっと聞いてた。聞いてない時でも脳内再生で聴いてた。