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「わかんない=悪い」わけじゃない

「高速化するJPOP」をどう受け止めるか 音楽ジャーナリスト3人が徹底討論(1/3) - Real Sound|リアルサウンド


こういう意見を持つおっさんを見ていつも思うのが、自分のはるか下の世代も自分と同じような音楽シーンを生きていて、おんなじような趣味嗜好を持ってると思い込んでるんじゃないかということ。

僕は以前、物心付いた時から初音ミクの曲を聞いている人たちの感覚を理解できない、みたいな話を書いた。

僕が生まれた時代はまだちゃんと邦楽というものが世の中をちゃんと回っていて、今のように、今の音楽を聞く人と聞かない人に別れるような時代ではなかった。少なくとも僕はJ-POPを頻繁に耳にしていた世代である。ただある時からVOCALOIDというものがやって来て、邦楽というものが急速に廃れていったわけだ。初めは邦楽を聞いて育ち、途中からボカロに入り、そこから様々なジャンルの音楽を聞いて洋楽に走る、という流れである。ボカロの隆盛期でもない、商業音楽の隆盛期でもない中途半端な時代を僕は生きている。

それに比べて、今の小中学生はVOCALOIDを聞くことが常識化している。物心ついた頃からVOCALOIDを聞いて育ってきた世代である。

それを何とか理解できると思い込んでいるフシがあるのではなかろうか。VOCALOIDで生きた世代はVOCALOID曲を基準に音楽を理解していくわけで、そんな人々のことを僕はわからん。

特に僕が突っ込みたかったのはここである。

でも、そういう新しい文化ってさ、ヒップホップもパンクもそうだったけど、最初はとにかくかっこよかったじゃない。そういう吸引力がないよね。

あんた自分が何歳だと思ってるんだ、と思うわけである。ヒップホップもパンクも最初はカッコ良かった、なるほど、それはあなたの世代の価値観でしょう、と。

僕が初めてヒップホップを聞いた時、パンクを聞いた時、それらをカッコイイとは思わなかった。というか今もそんなに好きじゃない。特にパンク、そん中でも昔のパンクは駄目だ。どうしようもなく音が好きじゃない。ダサイとすら思う。こういうことを言うと、その世代の人からはこんなこと言われるかもしれない。「俺らはカッコイイと思ってる」「お前にはわからない」そう、他の世代にはわからないのだ。その世代はカッコイイと思ってるのだ。

あなたの世代への吸引力が重要なのではなく、今の若者世代への吸引力が重要なのだ。あなたの世代がカッコイイと思うかではなく、今の若者がカッコイイと思うかが大事なのである。

ちなみに僕は今流行ってるボカロ曲、ハチさんの曲は好きだが、カゲロウデイズは何がいいんだかわからない。千本桜もわからない。ただ、中学生の僕がカゲロウデイズを聞いてたら、かっこいいと思ったのかもしれない。あるいは今の僕でも、わかろうとすれば好きになれるのかもしれない。しかし理解しようと努力をするのは面倒臭いので「わからない」と、判断を保留しておくわけだ。僕はこれはこれで間違っていないと思っている。わからないものをわからないままにしておくことも、大事だと思っているから。