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Perfume「Spending all my time」について。


[MV] Perfume「Spending all my time」 - YouTube

Spending all my timeについて。

このPVはPerfumeのPVの中で一番好きだ。恐ろしく機械的に動くメンバーと、コロコロ移り変わる視点。

このPVの彼女らはとにかく記号的であり機械的であり、人間らしい自然な動きをしない。それをクールだと思ったし、海外の人もそれをクールだと思ったのではなかろうか。

本当は、例えばライブのMCなんかだと人間らしいかわいらしい感じを見せるのかもしれないけれど、大半のPerfumeをしらない人々にとっては、彼女らというのは機械のように踊り機械のように歌う人々という印象を受ける。少し言い過ぎた気もするが、概ね間違ってないと思う。

言ってみればアニメキャラのようなのだ。彼女らはPerfumeという閉じた世界観の中で、記号的な役目を請け負って、キャラクターとしてのっち、かしゆか、あ~ちゃんを演じているように見える。「外の人」とでも言おうか。ポケットモンスターにおいてのサトシが、あくまで松本梨香の演じているキャラクターであるように。それがあのSpending all my timeでは如実に描かれている。あのPVを初めてみた時はただカッコイイと言う印象だけだったのが、何度も見る内に感じたのはそういうことだった。

特に印象に残っているのは、40秒あたりで、それぞれのメンバーが腕をまくり、01、02、03と数字が刻まれているのを見せるところ。あれはまさに、自分たちがキャラクターであることを暗に示している面白いシーンだと思う。

元々アイドル自体、そういう記号的意味合いが強いのかもしれないが。


さらに妄想すれば、あのPVの中の三人は、プライベートではなく、アーティストとしての側面、つまり彼女らのキャラクター性だけが抜き出されたら、という話として捉えるともっと面白いかもしれない。

一つの部屋に閉じ込められて、のっち、かしゆか、あ~ちゃんという「キャラクター」はひたすら三人で同じ時間を過ごす(=spending all my time)。ドアの外へ抜け出すことはできない。ドアを叩いても誰も反応しない。ドアノブをひねっても鍵がかかっていてドアを開けられない。なぜなら彼女らは「Perfume」という一つの部屋で生まれたキャラクターであり、その枠外に出ることができないからだ。あくまで外に出られるのは、中の人である大本彩乃樫野有香西脇綾香である。彼女らが演じているのっち、かしゆか、あ~ちゃんは「Perfume」というフィクション世界にしか存在しえない。


どうしよう、これどうやってまとめればいいんだ。

アイドルに詳しくない僕が無理してアイドル論的に書くのならば、AKBが現実に近づいてるのに比べ、Perfumeは非現実に向かっているのが対照的で面白いと感じます。片方は会えるアイドル、もう片方は会えないアイドル、みたいな。いや違う。「会えない」というよりかは「会えなそう」という方が正しい気がする。ファンタジーを更にファンタジー的にしようとしている、手の届かない存在になろうとしている、みたいな。これはうまく言えてるかどうかわからないのだが、なんだか、どんどん二次元的に高尚なイキモノになっていってる感じがするのだ。少なくともPV内で超能力を発揮してしまうくらいには。

とか考えながらテレビつけたら、フツーにPerfumeがバラエティ番組で生き生きとしてて困った。