サブカルブログって程でもない

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海外のcity pop流行について


これは
Oh Bother – Safely Endangered
これの一部分を変えたやつ。

で、変えたやつの元ネタはこれ。
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竹内まりやのPlastic Love。今現在だいたい800万再生。

これが海外でめちゃ流行ってる。動画ページをちょっとスクロールすればわかるけど英語のコメントだらけ。

なぜ流行ってるのか、その歴史を僕の知ってる範囲内で書く。

まずvaporwaveというジャンルについて説明しないとならない。

確か海外のどっかのクラブだった気がするが、とある人間が「クスリやってるときに曲の速度落として聞くとめっちゃトリップできるぞ」ってことに気づいた。で、そういう曲をバンバンかけるようになる。これがvaporwaveの起こり。ちなみにその人はオーバードーズで死ぬのだが。

それがきっかけとなり「vaporwave」とタグのついたフリーダウンロードのアルバムがbandcampにじゃんじゃん流れてくるようになる。なぜなら簡単に作れるから。なんでもかんでもとりあえずインターネット上から曲を引っ張ってきて速度落として10曲程度にまとめればいいわけで、リミックスも何もあったもんじゃない。そん中で一番有名になったのがこれ。
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現在ほぼ4000万再生。tofubeatsもDJで流してた。
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※動画冒頭で流れている。

他の特徴としてはエセ日本語的なアーティスト名、曲名をつけがち。ショッピングモール感、安っぽいCG、古いCM、昔のアニメをコラージュ、などなど。

ただ、いつまでもこんな適当な(disりたいわけではない)曲ばっか聞いてても飽きちゃうわけで、vaporwave界にも変化が起こる。それはfuture funkというやつで、何が違うかというとちゃんと曲っぽくなってる。funkというだけあってノリがよく踊れるものが多い。そん中で僕が知ってる有名な人は二人。「マクロスMACROSS 82-99」と「SAINT PEPSI」。
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※ちなみにSAINT PEPSIは今Skylar Spenceという名で活動している。tofubeatsの2ndアルバムにもWithout Uという曲で参加。

という感じで、変化を起こしつつvaporwaveは続いていったのだが。
その元ネタとして、日本の古いファンクミュージックや歌謡曲山下達郎角松敏生、杏里、八神純子などなど)が採用された。このおかげで日本の古い曲が一躍有名になる。特に山下達郎はfuture funkで結構な採用率。

するとfuture funkもいいけどそもそも原曲もめっちゃいいじゃんって話になり、山下達郎が人気に。

で、ここからはあんまり詳しくないので更に雑になるが、youtubeにはレコメンド機能というのがある。だから山下達郎を通して竹内まりや、Plastic Loveにつながっていったのではないか。そんな感じで曲が曲を呼びシティポップが人気になった。多分。


ちなみに今現在vaporwave/future funk的な音楽を作っている人はまだいて、僕が知っているのはミカヅキBIGWAVE。ツイッターの感じを見る限りどうやら日本人っぽい。vaporwaveって日本以外の人が作ってたので珍しい。
youtu.be

僕の知らない差別

YouTubeでレコメンドされてきてたまたま見た動画が、元女性の男性が生理用品を並べて女性の生理がどれだけつらいのか語る、というものだった。動画の内容自体は非常に勉強になって良かったのだが、気になったのはそこではなくて、コメント欄のほうだ。

大半の評価されているコメントは「元女性だからこそちゃんと教えられる」とか「元女性だから説得力がある」とか「元女性だからこそわたしたち女性のことをわかってくれる」とかそういうものだった。それに対し面白いコメントがあって「これは差別ではないか」。この動画を「元女性の男性が生理用品を紹介する」と解釈してしまうのは、世の中にいる元女性の男性に対する差別ではないか、というものである。

例えばこれが「男が生理用品を紹介する」だとどうだ。これに対しては不快を感じる、よく知らないくせに語るなと言われてしまうかもしれない。ならば「女性の生理について詳しい男が生理用品について解説する」のはどうだ。これも気持ち悪いと言われそうだ。その動画がたくさん再生されて高評価がたくさん付くイメージは全く浮かばない。

(もちろん、そもそも女性の生理について男性が語ることを気持ち悪いとか不快とかいって退けてしまうのは差別的ではないかという論点も考えられるが、話がとっちらかってしまうのでそこは置いておく。)

しかし「元女性の男性が生理用品について解説する」ならどうだろう。他の二つと違うのは「元女性」という部分であり、これをもし気持ち悪くないと感じるのだとすれば、「元女性」と言う肩書きがあるからなのではないか。実際コメント欄には「元女性」であることを強調するものがたくさんあった。しかしいくら彼らが昔「彼女ら」だったとしても、今は「彼ら」である。ならば今の彼らを、ビフォアの部分ではなくて、純粋な男性として、内容についてわたしたちは評価をするべきではないか、というのが多分言いたいことなんだろう。あなたたちは「男性」であることよりも「女性」であったことを積極的に評価してしまっているのではないか、それはあまり良いことではないのではないか、と。

ただ僕がまず思うのは、この動画において彼らは冒頭に元女性であることを自ら主張しているわけで、であるからして、それ込みの評価をされることについて彼らは特に不満を持ってはいないんだろうと思う。むしろサムネにドドーンと「元女子」って書いちゃってるくらいだし、狙ってやってると言ってもいい。だから「動画作成投稿してる彼らにとって差別的か」と言われると多分そうではない。しかし彼ら以外の、元女性で現在男性の方々がこの動画や書かれているコメントを見た場合に、不快や怒りを感じることは十分考えられるだろう。つまり、たとえ彼ら自身が「元女性」として扱われることに抵抗を感じていないのだとしても、彼ら以外の、過去女性であったことを強調したくないとか、隠しておきたいとか、そういう風に扱われたくないと思ってる男性にとっては、こういう動画は「男性」と「元女性の男性」の差異を強調してしまう差別的コンテンツである、と感じられるかもしれない。「これは差別じゃないか」とコメントした人(その人は「自分はFTMである」とも書いていた)はコメント欄において半分荒らしみたいな扱いも受けていたが、僕はむちゃくちゃを言ってるとは思わなかった。一理あると思った。

 

監視カメラと『ザ・サークル』

電車内における痴漢は非常に多いので、それを防ぐために電車に監視カメラを置けばいいんじゃないか、という意見がある。また、この間もラジオで「国会中、ちゃんと議員が寝てないか確認するために、政治家一人ひとりに監視カメラをつければいいんじゃないか」という意見を聞いた。そういう意見を聞いたときに思い出すのが『ザ・サークル』という小説だ。

ザ・サークル』では、近未来のソーシャルネットワーキングな世界の中で、皆がポジティブに監視社会を望んでいく過程が描かれている。その中に、両親の病気を治すことと引き換えに、自分の両親の実家内に監視カメラを置く、というシーンが出てくる。

この時点で、主人公はすでに自分自身にカメラをつけて、自分の生活を全世界に公開して共有する、そういう状況になっている。具体的には、主人公の視点から見える、起きてから眠るまでのあらゆる状況(ただしトイレと風呂、睡眠の際はカメラのスイッチを切ることが許されている)がインターネットを通じて全世界で生放送されている。何もかもが筒抜けになっているのだ。僕から見たら相当むちゃくちゃなことをやっているなと思ってしまうが、「監視のない状況だと人間はおかしなことをしてしまうのであなたは監視される必要があるし、やましいことをしていないならなおさら監視カメラを拒否する理由がない」という論法によって、主人公の監視は肯定されている。

ある日、主人公が「実家は今どんな状況なんだろう」「あわよくば両親と話したいな」と思い、実家の監視カメラの様子を確認する。すると自分の両親がセックスをしている映像がバーっと流れてくる。主人公は自分自身にカメラを付けているので、自分のカメラを通して両親のセックスが全世界に公開されてしまった。慌てて主人公は首を振ってカメラを動かすがもう遅い。続いて世界中からの慰めの声が主人公にじゃんじゃん届いてくる。彼女はひどく落ち込む。その後、ショックを受けた両親は自分の家から監視カメラを外してしまう。

ここで僕が言いたいのは、「合理性」で許されない部分てありますよね、てことだ。たとえば殺人事件のうち、家庭内で起こるものは非常に多い(ドラマ『アンナチュラル』でも語られていた)ので、じゃあ殺人事件を減らしましょうとなったときに、家の中に監視カメラを置くというのは「殺人事件を減らす」という一点においては非常に合理的な手段である。しかし合理的であるからといって倫理的に許されるか、という問題があるわけだ。

「監視カメラを置けば防犯効果もあるし犯人も捕まりやすくなるし」なんてことを僕たちは簡単に言ってしまいがちだが、監視カメラを置くことで、つまり「自分が監視されている/監視できる」ことによって、そしてそういう意識を持つことによって起こるデメリットについてもちゃんと考えなきゃいけないなと思う。

単純に監視カメラを置くことに反対って言ってるわけではない。なぜだかメリットばかりが強調されていて、デメリットについてあまりにも触れられてなくない? 「監視」というのが一体どういうものなのか、あんまり考えられてないのでは? と思ったのだ。

ザ・サークル

ザ・サークル