なにもしらない

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長さ主義dis

「選択疲れの時代」に求められていること - いつか電池がきれるまで

これを元ネタにして書きました。

 

たとえばエロゲというのは、とにかくシナリオが長い。とりあえずと言っていい位長い。それはシナリオライターがその長さを丁度良いと思っている部分もあるだろうが、大半の場合、シナリオが長いのはそれが作品のウリの一つになるからである。ただそれこそがエロゲ購入層を狭めているのは間違いない。

今のエロゲをプレイしようと思ったら、大体20時間は超えてくるのが普通である。そんな長い時間をエロゲに費やしてくれる主な購入者層は誰なのか。ということを普通に考えると、大学生や専門学生などの、比較的自由時間を作りやすい若者が思い浮かぶ。ただ社会人は仕事が忙しいのでゲームにそんなに時間を割けない。つまり、「18歳以上の」、「社会人でない」、なおかつ「暇な人」をメインターゲットにするしかないわけだ。その狭い範囲でしかエロゲを積極的に購入してくれる人はいない。これは多分エロゲ以外の、一般的なゲームでもそうだ。壮大なRPG買うよりかは、スマホで短時間にちょこちょこっとやれば済むような簡単なゲームが流行るのは、世の中に暇ではない人が多いからだろう。世の中の大半の人々は働いているのだ。その上労働者かどうかも関係ない問題として、ゲーム以外の娯楽が余りにも多くなったために、ゲームに費やす暇な時間自体がないということもある。

つまり、こんだけシナリオが長いですよ、ということをアピールするってことは、これだけのシナリオを消費できる「暇」を持っている人是非買ってください、と言っているのと大して変わらないのではないかと思うのだ。

そういうことを考慮しても、ネットコンテンツ、例えばメルマガが文字数の多さをコンテンツのメリットとして推していくのは無理があるのではないか。こんなにたくさん書いているのにこの価格で済みますというのは、コストパフォーマンスを示すという一点においては有効かもしれない。ただ本当に読者が欲しいのは、沢山の文字ではなく、文章の中身・質によって得られる充分な「楽しさ」だったり、「為になる感」だったりするわけだ。なおかつ今は暇が少ない時代である。ならばとにかく文章の長さをアピールするよりも、これだけの時間で、価格で、これだけの面白さが手に入ることをアピールしたほうがよっぽど良いと思う。逆に言えば、例え文字数の多いコンテンツを提供したとしても、そこに中身がない場合、少なくとも得した気分にはならないだろう。

小説で例えればわかりやすいかもしれない。「異邦人」と「ペスト」どっちが面白いか聞かれた時に、ページ数が多いからじゃあペスト、なんてことには絶対ならない。中身の面白さが重要なのである。

もちろん、長いことがよくないことだというのを言いたかったわけではない。これは長いことをメリットとして推していくくらいなら、面白さをメリットとして推していくほうがずっと良いという話である。ではそれをどう伝えるのかというところについては、どっかのニコニコみたいに一部分だけ無料で読ませるとか、いわゆる体験版を提供するくらいしか僕には思いつけない。のでそこら辺はぶん投げます。

面白さを伝えることさえできれば、消費者側も積極的にコンテンツを消費してくれるに違いない、なんて偉そうなことは言えないが、少なくとも大容量なのにこんな値段で買えるからお得だよってのは、どっかの家電製品じゃあるまいし食料品じゃあるまいし、無理な推し方なんじゃないかと思う。